2021年6月6日日曜日

【経済的自立支援】第1四半期報告(2020年12月~2021年3月)

 


背景

新型コロナウイルス感染によるロックダウンにより失業した若者や女性たちの生活への経済的なダメージを緩和し、経済的自立を支援することを目的に、SORAK はパン製造・販売を始め、若者や女性にスキルと雇用の機会を提供することにした。SORAK の所有地(レモングラスエッセンシャルオイルの蒸留前にレモングラスの草を寝かせておく場所)を活用し、さらにパンのフレーバーとしてこれまでの環境保全事業で生産したレモングラスのエッセンシャルオイルを活用した。

SORAK はパン製造の工程に必要な以下の機械を購入し、それらを修繕して使用した。

-ミキサー、パンの鋳型、スライサー、燃料節約型の薪を使う石オーブン(3 個)

その他の支出は、フライパン、トレイ、電子計量器、作業テーブル、木の棚まき置き、また首都カンパラからパンの包装材をデザイン・購入した。

初年度は若者や女性へのパン作りや販売のトレーニングに力を入れ、次年度に彼等に融資を付与する活動に移行する予定である。

ミキサー、作業テーブル、製造したパンを格納するトレイ

蒸し器、薪オーブン(建設中)

揚げるのに使用する省エネのストーブ、薪オーブン(完成形)と蒸し器、建設中のパン工場


パンの鋳型、初期(2020 年 12 月)に設置したオーブンを取り替えた新しいオーブン














パン作りの工程に必要な最低限の機器を整えたのは良いものの、SORAK は運用費が足りないという課題に直面し、パンやドーナツ作りの材料を購入する資金が必要であった。

そこで、Global Bridge Network(GBN)からローンという形で 2 年間 5000 ドルを借入することになった。

この借入金は運用費(トレーニング費、砂糖、塩などの調味料や小麦や調理油などパン作りに必要な材料)として活用する。

パンなどの商品開発は 2020 年 12 月にスタートし、以下の形で進めている。


活動概要

活動 1: 若者・女性のパン作りトレーニング

日時: 2020 年 12 月(2 週間)

活動内容:

ウガンダの首都・カンパラから腕の良いトレーナーに来てもらいトレーニングを実施した。トレーナーは SORAK の貧困の状態にある若者にパン、ケーキ、ドーナツやその他の菓子類の作り方を指導した。

若者 12 名(男女半数名ずつ)は 2 週間の実施研修にて、主な材料である小麦 1000 キロ、クッキングオイル 500 リットルを使用してパンを製造した。

さらに市場調査を兼ねて近隣のコミュニティへ生産したパンを持っていき試食してもらったところ、小さなショップ経営者を含む 200 世帯が関心を持ってくれた。

トレーニング期間中に、最初に設置したオーブンを解体し、スチールと粘土で作られた物に取り替えた。最初のオーブンは小さて品質が悪く、パンの 90%が焦げてしまったためである。

最初の品質の悪いオーブン               取り替えた新オーブンとドーナツ






主な成果:

-若者・女性はパン作りの技術(材料を計って混ぜる方法、機械の使い方、パンのこね方、焼いたり揚げたりする方法など)を習得した。

-若者・女性は市場調査や営業の方法を習得した。

-最も素晴らしい成果は、若者が SORAK のオリジナルブランドを開発し、すでに市場にあるパンに引けを取らない素晴らしい出来栄えの商品としてのパンを生産出来たことである。

パン・ドーナツの生産過程:材料の準備、計量、ミキサーで混ぜ、こねて型取り、切って完成

活動: パン・ドーナツの生産

日時: 2021 年 1 月

内容:

努力の甲斐あって、2021 年 1 月 3 日以降から SORAK のパンは市場に出せる生産品になった。現在はパンとドーナツを商品として生産している。1 キロ、500 グラム、120 グラム、40 グラムと様々なサイズ、長方形、楕円形、丸型などの様々な形のパンを生産した。

SORAK はパン生産者として若者 9 名をフルタイムで雇用し、週に 6 ドルほどの給与を支払っている。

500 グラムの丸いパンやドーナツの生産過程

生産とインプット:

現時点での生産過程にて使用する材料として、小麦 125 キロ、オイル 20 リットルを毎日使っている。

-1 キログラムの小麦0.75 ドルx125 キログラム(1 日の使用量)=合計 93.75 ドル

-オイル 20 リットル=35.8 ドル

上記の主な 2 つの原材料から生産できる量は以下の通り。

-小麦 100 キログラムのドーナツ生産量は 120 ダース分(1 ダースはドーナツ 12 個)

-小麦 25 キログラムのパンの生産量は 24.5 ダース(1 ダースはパン 12 個)

-若者 9 名雇用にて 1 週間に掛かる給与は 56.9 ドル


主な成果:

-SORKA 産のパンは既に市場に出ているパンに引けを取らず、多くの人々に好まれた。

-SORAK 産のパンの種類は以下である。

500 グラムの円形のパン、100 グラムの小さなパンとドーナツ、1000 グラムまたは 500 グラムの食パン

ドーナツを揚げている様子、100 グラムの小サイズパンのパッケージ、食パン


活動 3: 日々のマーケティング活動と顧客へ販売

日時: 2020 年 12 月~2021 年 3 月

内容:

バイクタクシーを 2 名雇い、SORAK のマーケティングチーム(販売係)により日々販売した。

経費:

2 名のバイクタクシーを使用し、117.3 ドルに値する生産品を販売した。

-1日平均 30 キロくらい移動して販売した。

-バイクタクシーのドライバー1 名に掛かる燃料費が 1 日 8.3 ドル(燃料代含む)、ドライバーへの支払いが

16.6 ドルであった。


販売先(顧客)のカテゴリー

1- 個人宅

2- 小売店

3- レストラン

4- 学校の食堂

5- 農村地の卸売店

6- ソフトドリンク売り場


主な成果:

日次にて

- 120 ダース(1 ダース 1.3 ドル)のドーナツの販売にて、卸売価格は 166.6 ドル(粗利益)

-24.5 ダース(1 ダース 1.3 ドル)のパンの販売にて 34 ドルの利益

-1日の総売上高 200.6 ドル

しかし、上記のほとんどは経費で消えてしまう。 例えば、材料費、生産費、販売費など、売上から捻出することになる。

徒歩やバイクでパンやドーナツを販売するマーケティングチームや配送からもどってきたバイク


 SORAK の戦略的目的と本事業の成果と変化

本事業は、SORAK のテーマである若者と女性のエンパワーメント、特に 2019 年に策定した SORAK の中長期目標 5.2 にある「女性と若者の収入向上」に呼応するものである。

事業期間中の成果として、本マイクロクレジット事業は、パン作りや販売員として雇用した合計 9 名の若者の収入創出に貢献できた。また、販売に関わるバイクタクシー2 名の収入創出にも貢献している。

本事業において見られた変化として、SORAK 産のパンへの需要が増えていることである。パンとドーナツはSORAK オリジナルのレモングラスのフレーバーがあり、パン市場において他社と競合している。


課題と提案

主な課題・問題

課題に対する提案

提案に対する結果

-不十分な生産設備。市場の需要に対して少量の生産しかしていない。機械、輸送手段、材料を備蓄しておくための資金がない。

 

-電気代が高く、供給が不安定。電気会社は常に不正をしており、電力配給が安定しない。

 

 -雇用した若者に十分に支払う給与が確保できない。低賃金で足りないと、週の給与は少なくとも11ドルを要求されている。

 

-材料の値段が常に不安定で値上りがある。最初は小麦1キログラム0.72ドルだったが、2か月間で0.76ドルに値上がりした。

-資金調達する。

 

 

 

 -高額な電気代や不安定な供給対応するためディーゼルエンジンを使用したミキサーを購入する

 

 -生産力を上げることができれば、雇用者により仕事を与え、生産・販売を増やせば、賃金を上げることができる。

 

-将来的に資金調達して、材料の大量まとめ買いをすることで、材料費の値上がりの影響を抑え、収益を最大化する。

SORAKはスタッフと今後のプラン、機器の購入、運搬の手段の確保、賃金の値上げ等に関してどうやって資金調達するかについて話し合っている。 


次のステップ

マイクロクレジットとしての活動は実施計画の後半で実行する。後にローンを返済するために、まずはパン作りと販売を強化するために、若者を雇用し賃金を払っている。

パンの生産と販売はローン返済のための一つの手段であり、SORAK は若者に融資をしてそこから収益を上げることを計画している。それゆえ、まずはパンのビジネスを強化することから始め、若者にクレジットを渡せるように

なるまで拡大する。SORAK は若者や女性から融資を付与してから返済してもらうまでにかかる時間やプロセスを考慮し、今はより高品質と認められるパンを生産し、 財政基盤を強化し、長期にわたり彼らを支援できるようにすることが重要であると考えている。



報告書一覧はこちらです↓↓

「マイクロクレジットを通した女性や若者の経済的自立支援」事業報告書一覧


※本プロジェクトは皆様の寄付などを含む自己資金を活用しています。



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2021年5月8日土曜日

ウガンダ共和国における「生理で学校に行けなくなる女子学生の教育環境改善事業」

JICAの草の根協力支援型(2020年度第2回)として採択されました!*



*事業の開始は2021年度末から2021年度初旬の見込みです。 

事業の背景

<生理が原因で学校を中退?!

ウガンダをはじめとした途上国では、子どもたちが様々な原因で学校を中退してしまうという問題があります。授業料を払えない、学校が家から遠いなど、理由は様々です。その中でも、実は生理が原因で女子生徒が中退してしまうという問題があります。加えて生理について言及することがタブーという文化的背景があり、青年期の男女が学校や家庭で生理について教わらず、月経に関する正しい知識、衛生・性教育が不足していることも深刻な問題です。

 GBN は、NPO 法人設立前に「生理用品配布事業」を実施しました。貧困のため生理用ナプキンを購入できず、手元にある古着など不衛生なものを代用することによる感染、洋服などに漏れてしまったところを見た男子生徒にからかわれる等、生理が原因で学校を休学、中退してしまう女子生徒がたくさんいるという事実を知ったからです。そこで、1年間洗って使える布ナプキンを配布し、それが女子生徒の就学状況の改善にどれほどの効果を与えるか測るべく、調査を行いました。

 ◆調査報告書はこちらです。

 布ナプキンプロジェクト調査結果2015

 その結果、布ナプキン配布後の女子生徒の学校の出席率、成績などの向上が見られ、中退した 女子生徒も復学することが出来たのです。生理期間中に学校を休むと、1か月に長くて1週間、1学期の期間中に合計3週間近く休むことになり、学校の出席率や成績に大きく影響します。その結果、学校を中退してしまい、学校を出ていないことにより十分な収入を得られる職業に就く機会も逃してしまいます。また、男女ともに生理に関する正しい知識、衛生・性教育の不足、ジェンダー意識の低さも大きな原因であることが分かりました。


20172019年「生理で学校に行けなくなる女子学生の教育環境改善事業」>

その後、20172019年の3年間、Lush Japan様の助成でウガンダのムベンデ県にある現地NGOのSORAK Development Agency *協働し、生理による女子生徒の中退防止を目標に、布ナプキンの作成指導、衛生・性教育、ジェンダー啓発活動を実施し、どのような効果が得られるかを測るインパクト調査を実施しました。

*SORAKhttps://www.facebook.com/Sorak-Development-Agency-314375665249241/


 ◆各報告書はこちらです。

リンク:http://globalbridgenetwork-jp.blogspot.com/2020/03/blog-post.html

 

<JICAのプロジェクトとして、これまでの活動を発展させます>

上記の事業の実施で、布ナプキン作成トレーニングの拡充、生理に対する正しい知識、衛生・性教育の普及、ジェンダー意識の啓発などのさらなる効果的なサポートを実施し、ウガンダの女子生徒の就学率向上に貢献することが必要であると認識しました。

 また、教員による生理の問題に対処する能力の欠如、また多くの学校に女子トイレ、汚れた衣類を洗う洗面所、着替えの場所などの設備が不足していることも課題です。また一般的に、使い捨ての生理用ナプキンを購入できない女性の多くは、何度も使用できる生理用布ナプキンの存在自体を知らないことが多いです。貧困家庭の女子が学校を退学してしまうと、児童労働・性産業への従事、若年の結婚・妊娠などに陥ってしまう可能性が高まります。女子が将来、社会的・経済的に脆弱な立場に陥らないためにも、生理中も安心して学校に通学し、基礎教育を完了できる環境をつくることが必要であると考え、本事業を実施します。

JICAの掲載ページ

草の根協力支援型 | 市民参加 | 事業・プロジェクト - JICA

 

本ブログにて、事業の進捗をお伝えしていきますので、お楽しみに!


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2021年3月13日土曜日

モザンビークのお話 (Vol.5) 横田 美保

こんにちは。日増しに暖かくなり、早春の息吹を感じるこの頃です。

皆さんお変わりございませんか。

スタッフ関係

さて、今回は201210月に立ち会った武器アートの製作現場の様子をお伝えします。

その頃、私はえひめグローバルネットワーク(EGN)のモザンビーク事務所長として首都のマプトに駐在しており、前回のブログでお話したように、EGNは市民の手で平和構築を目指すTAEプロジェクト*を支援していました。

*TAEプロジェクトの詳細はひとつ前のブログをご参照ください。⇒【リンク先

このプロジェクトに魅せられた国立民族学博物館(大阪府吹田市)の依頼で、武器アーティストのフィエルさんとケスターさんが大型の武器アートを製作することになりました。その様子を国立民族学博物館の吉田憲司館長が記録するということで、私もその製作プロセスを日々見せて頂くことにしました。

作品のモチーフは、「自転車」と「家族」です。

TAEプロジェクト*のために日本の放置自転車が交換物資として活用されてきたという経緯、また平和な世の中でこそ成立する何気ない日常、平和構築のために前進し続けるというようなメッセージが込められているようです。





まず、銃を切断します。この作品を製作するために合計で100丁以上の銃が使われているそうです。まれに弾薬が込められたままであったり、暴発したりすることもあるので切断のプロセスには細心の注意が必要です。この作業の際に銃口が周囲の人に向かないようになどの注意も必要です。





作品の枠組みを作成し、そこにパーツを一つ一つ溶接していきます。

 





自転車のクランク、サドルを再現。小さいパーツを溶接するのは根気のいる作業です。















自転車の完成。作業が夜中までかかることもありました。

3週間かけて、渾身の作品が完成しました。

 

自転車のハンドルを握った父親が片足を地面につけ、今にも漕ぎ出そうとしている姿で、後部座席には母親と背負われた子どもの姿があります。そこに伴走する犬の姿もあります。

 

完成した作品は、下記のリンクからご覧になれます。日本の多くの方々にもモザンビークの悲しい戦争の歴史を知っていただき、この作品に込められた平和への想いを受け取ってもらえたらと思います。

 


国立民族学博物館所蔵:『いのちの輪だち(Cycle of Life』 2012

フィエル・ドス・サントス/クリストヴァオ・カニャヴァート(ケスター)

https://www.minpaku.ac.jp/museum/enews/146otakara


※この作品は、常設展示ではないので、是非見てみたいという方は、同博物館にお問合せ下さい。

 ここまでお読み頂きありがとうございます。次回もお楽しみに!


Vol.6に続く)

 


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2021年2月17日水曜日

モザンビークのお話 (Vol.4) 横田 美保

皆様、こんにちは。

梅が咲き始め、だんだん春の気配がしてきましたね。お元気でお過ごしでしょうか。

さて、前回、モザンビークの内戦後の武装解除、平和構築活動についてお伝えしましたが、今回は武器の平和アートへの再生についてお話します。

<モザンビークの平和アート>

回収した武器を2度と使えないようにするには、通常、溶かして鉄として再利用すると思いますが、モザンビークでは溶鉱炉の不足からそれを断念し、爆破処理する方法が取られました。そして、回収された武器のうち数パーセントは、アーティストの手で平和を訴える『武器アート』として生まれ変わっています。

『空爆が終わり、傘をたたむ人』

(フィエル・ドス・サントス作/えひめグローバルネットワーク所蔵*

 

『武器アート』の特徴は、武器を切断して使用できない状態にしてから、武器であることが視覚的に分かる形でアート作品として再生する点です。そのため、武器の1部であることが私のような素人にも分かります。


作品のモチーフはアーティストによって異なりますが、戦時中は禁じられていた音楽を奏でる様子、喜びを表現するダンス、パン焼き、読書などの日常、動物や爬虫類などの生き物、愛の象徴の薔薇、平和の象徴の鳩など多様です。

モザンビークの首都マプトにある美術館Núcleo De Arteが主な製作場所で、私がマプトに居た当時は5名ほどのアーティストが武器アートを製作していました。特に仲の良かったアーティストが、フィエルさんと、ケスターさんです。 

 

アーティストのフィエル・ドス・サントスさんと彼の作品

アーティストのクリストヴァオ・カニャヴァート(通称ケスター)さんと彼の作品


『武器アート』を製作するアーティストは、自身が子ども兵だった人、親戚・家族が敵味方として戦った悲しい過去を持っている人など、戦争の辛い記憶を抱いている人ばかりです。そのような過去は忘れてしまいたいと考えることもあり、武器を手にすることで戦争の記憶がその度に思い起こされるそうです。しかし、辛い体験があったからこそ、忌まわしい戦争を忘れないように、将来の子ども達に同じ思いをさせないように、作品を通じて平和の尊さを訴えることが使命であると感じているそうです。武器アート製作を通じて、負の感情が昇華して救われているということもあるそうです。

武器アートが世界的に有名になったのは、大英博物館で展示が行われた2002年で、2004年より『Tree of Life(生命の木)』と『Throne of Weapons(武器の玉座)』が常設展示さるようになりました。写真の転載ができないので、是非下記のリンクから作品をご覧ください。

 ◆大英博物館所蔵:『Tree of Life(生命の木)』 2002

同国が負わされた暴力の文化への勝利、兵士や政治家でなく武装していない一般市民(女性、子ども達)の勝利を象徴している。

https://britishmuseum.withgoogle.com/object/tree-of-life

◆大英博物館所蔵:『Throne of Weapons(武器の玉座)』2002

ロシア製の自動小銃AK47、東欧、ポルトガル、北朝鮮の銃などからできている玉座です。

https://britishmuseum.withgoogle.com/object/throne-of-weapons

どんな武器が作品に使用されているかの詳細の分析は以下のリンクでご覧いただけます。モザンビークでは銃を製造していないため、すべて海外から流入した武器です。 リンク:https://bit.ly/3iGnsjO

 *えひめグローバルネットワーク所蔵:武器アート作品一覧(平和教育の教材として、企画平和展の開催のためなどに貸し出しを行っています。詳細はこちら https://mozambique-art.com/

 

ここまでお読み頂きありがとうございます。

次回は、武器アート作品の製作現場についてお伝えします。

Vol.5に続く)


 


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2021年1月31日日曜日

【SORAKから報告】コロナ禍における現地パートナーの取り組み

女性や少女にコロナによる影響について調査

 

ウガンダにおける2020年のコロナウイルスに関する概要

2020311日、世界保健機構(WHO)により、新型コロナウイルスは世界規模で同時期に発生したパンデミックであり、あらゆる国や国境を越えて大流行している緊急事態と宣言された。多くの国がCOVID-19の感染者を抱え、アフリカ諸国でも2020415日時点で10,000を超える感染者が出た。

ウガンダでは、2020322日にドバイから入国した男性(36歳)が最初の新型コロナウイルス感染者と報告された。それに続き、ウガンダの大統領はウイルスを拡散しないための広範な政策(ウガンダの国境(陸空)の閉鎖、教育機関の休校、公共や私用の運送の禁止、2週間のロックダウン、19時以降の外出禁止)を発表した。

Resident district commissioners(郡の知事)に関しては、感染者(症状が出ている者)を医療センターへ送るための唯一の許可付与者という新たな権限を与えられた。2週間のロックダウンを終えた430日以降、さらに21日間延期され、ロックダウンの延長は、小規模の自営業者やその日暮らしの生活をしている貧困層の収入減に直接影響を及ぼすために大きな動揺を与える決定となった。

420日、ウガンダではコロナウイルス感染者55名、治療中28名、死者0名と報告された。ロックダウンは当初は、数週間延期されるという見込みだったのが、数か月に及んだ。202010月にようやく緩和され、SOP(感染予防対策のガイドライン)に基づき各学校の最終学年の生徒への授業が再開され、お祈りの集会と70名を上限とした会合が許可された。

さらに、COVID-19と並行し、大統領と議会の国内総選挙が実施され、現在の規制では200名以上の集合は禁止されている。202117日、ウガンダでは222名の感染者を抱え、累計の感染者は37,296名となった。死者の累計300名、回復者の累計12,619名(PCRテストを受けた人数:計775,941名)となった。

 

コロナウイルスに対する取り組み

活動1: 社会的弱者である女性や少女とグループディカッションを行い、コロナ禍のロックダウンにより彼女達の生活や人権への影響調査を実施(20207月)

主な調査結果

·   少女のほとんどは学校へ戻る希望を失い、早婚を選択せざるを得ない

·   ロックダウンにより仕事を失った男性による家庭内暴力が増えた

·   学校閉鎖により保護されない状況に置かれた少女へのレイプや強姦による性的暴力が増えた

·   家に滞在する時間が増えたために、望まない妊娠をする女性や少女が増えた

·   コロナ禍による望まない妊娠の結果、望まれない乳児が増えた

·   ロックダウンで営業停止になってしまい、市場で売り子をしていた女性は経済活動を失った


女性や少女にコロナによる影響についてグループディスカッション


女性や少女にコロナによる影響についてグループディスカッション


活動 2: 村々へ出向き、ロックダウンによる在宅中の少女の早婚や妊娠に関する危険性を啓発(20208月)

メモ: 危険性というのは、早婚または望まない妊娠、性行為による感染症の罹患、性的虐待による死亡などのことで、これは犯罪であり収監されるべき刑罰である。特にロックダウン中に学校に行けない少女たちは危険にさらされるため、安全な場所で保護しなければならない。警察は、性的虐待を受けたらすぐに通報すること、少女を危険な場所へ送らず安全に保護すること、家事などで忙しくさせ、クラフトや絵画などをすることでスキルアップさせるように助言した。

ロックダウン中の暴力や性的虐待の危険性をコミュニティに啓発する警察官


活動3: 社会的弱者である女性や少女が食料を確保できるように、豆やトウモロコシの種を配布(SORAKの自己資金)

チバリンガ準群にて、青少年にトウモロコシの種を配布

チバリンガ準群にて、立場の弱い女性には豆を配布


活動4: Peace Corps(米国の平和部隊:日本の青年海外協力隊の米国版)との協力により、 妊娠中または授乳中の母親へ蚊帳の提供(20207月)

 



SORAK
の代表が蚊帳を女性たちに配布している様子

活動5: Untapped Shores International USA inc.からのサポートにより、社会的立場の弱い少女や10代の母親に、水タンクの作成を通じた、水や公衆衛生におけるビジネスのトレーニング

水タンクを作り販売することで水や公衆衛生を促進させる事業・ビジネスである。コロナ禍において特に手洗いは非常に重要であり、手洗いやその他家庭内での水使用へのニーズに応えることにもなる。需要に応じて多くの世帯に水タンクを提供できるように少女たちを訓練した。要望に応じてタンクを作るたびに収入を得ることができるようになり、自分たちの家計を助け、生活費を稼ぐことができるようになった。

貯水槽を作る道具を受け取った水事業トレーニングの受講者たち。

貯水槽を作る女性メンバーにジェンダーに基づく暴力に屈しないよう呼びかける代表

作成中の水タンクを見せる受講者の少女

   

活動6:ムベンデ県のLusalira村にてロックダウン中のごみ収集に参加(2020年7月)


地方のトレーニングセンターからごみ収集に参加した


昨年のコロナ禍で、SORAKの数々の取り組みでした。
2021年は世界中でコロナが収束し、人々が安心して生活できる環境を願います。