2022年5月29日日曜日

【環境教育と廃棄物の収集・リサイクルを通した環境美化事業】2022年3月~4月活動報告書

 

地域住民が発案した条例案の改善及び補足のため準群の専門チームが議論を進めている。

<各活動の進捗状況>

活動1.1情報やメッセージを地区全体に届けられるコミュニティラジオのシステムの導入

コミュニティラジオ放送局の設置に際して個人や組織は国から許可を得る必要があるが、SORAKは許可を申請し無事ラジオ運営の許可が下りた。ラジオは広範囲に情報を届けることができるうえ、メガホンよりも音質が良く、優れているといえる。325日にはラジオ電波塔を設置、その他運営に必要な機材や設備も随時調達していき、5月末までにはラジオ放送の準備が整う予定である。それまでの期間は、これまで同様既存のコミュニティラジオvoice of Lusaliraのメガホンを利用しゴミ分別の啓発を行っていく。

ラジオ放送局となる場所に設置した電波塔

ラジオ放送局となる家屋の復旧作業

FMラジオを設置予定の防音対策を施した家屋は、ラジオ設置に最適な立地であるチバリンガ準群に位置している。現時点ではまだ復旧作業中だが、5月末にはラジオ放送を開始する予定である。 

内部の補修作業                     内壁の塗装後 

外壁の補修作業                     外壁の塗装後

 

活動 1.2 住民に向けての環境教育トークショー(30分間/日)

ルサリラ地区にある既存のメガホンを使ったトークショーを計3回(2022年3月9日、4月2日、12日)実施した。SORAK代表、プロジェクトマネージャー、プロジェクトオフィサー、監視・評価オフィサーが出席し、地区内の適切なゴミ収集について啓発を行った。具体的には分解可能な生ごみなどの有機廃棄物、汚水などの液体廃棄物、割れた瓶などの有害廃棄物、分解しない紙おむつなどの固形廃棄物などゴミに種類があることを住民に認識させ、ゴミの分別方法及びリサイクルについての話をした。

ラジオのトークショーの中でプロジェクトスタッフが適切なゴミの処理方法において啓発をしている。


活動 1.3 環境教育及び啓発活動を宣伝するラジオコマーシャルの放送(15回)

428日に予定していた地域のボランティア清掃活動及び集会への参加を呼び掛けるラジオコマーシャルを425日~28日の期間、voice of Lusaliraのメガホンを通して15回放送した。環境保全グループのメンバーもそれぞれ個々に集会への出席を呼び掛けてくれ、そのような形でも活動に協力してくれた。


<ラジオコマーシャル>

  ウガンダの皆さん、ゴミの廃棄をきちんとしないことは、各家庭においても地域においても悪影響であることをご存じでしょうか。不適切なゴミの廃棄はコレラや下痢などの深刻な病気の原因となり私たちの生活に害を与えます。ゴミの焼却もまた、どのような方法であっても環境破壊につながります。

SORAKは地域の自主的な清掃活動を支援し、そしてルサリラ地区の住民の皆様に活動への参加を呼びかけます。ゴミの適切な処理に関する条例の制定において議論する会議も行います。

環境を清潔に保つための本活動は4月28日に予定していますので、皆様のご参加をお待ちしております。 以上、Global Bridge Network-Japan並びにSORAKからのメッセージでした。




活動 2.1 ゴミの分別と安全な処理を目的に、ごみ箱2個ずつ5か所への設置

各所に設置予定のゴミ箱を発注した。

 

活動 3.1 廃棄物の投棄や分別を監視する地域の環境保全グループ

ゴミの適切な処理法に関するラジオトークショーの効果を見極めるため、SORAKチームはチバリンガ準群長及び地域の指導者たちと協力し地域の監視に取り組んだ。結果として大きな効果があったことが判明した。ゴミ箱の設置前であるにもかかわらず、環境保全グループの協力のもと住民が自らゴミを袋にまとめ、それをトラックで収集場まで運んでいた。

住民たちはゴミをどこにでも廃棄する習慣を改め、収集したゴミを袋に詰め収集車が来る場所一ヵ所に廃棄するようになった。

活動3.2 廃棄物の投棄を規制する条例の制定とその強化

425日、地域の住民及び指導者たちと条例制定に関する議論を行う集会の日程を調整するため、SORAK代表とプロジェクトオフィサーは準群長を訪問し、計画会議を実施した。そこで準群長は集会を428日に行うことを提案した。

 

準群長、SORAK代表、準群議長が計画会議を行っている様子

428日、SORAKチームは地域住民、準群長、専門委員とともに適切なゴミの管理を目指す条例の考案及びその議論を行う集会を実施した。まずは地域住民からに意見を聞く会議を実施し、その後住民から出た提案をもとに議論した。議論の後に考案された条例は正式な制定に向けて55日に議会へ提出予定である。詳細は以下の付録にあるとおりである。


準群長とSORAKスタッフ、地域住民が集会でゴミの適切な管理方法に関する条例の考案に向けて議論を交わしている様子

 

<今後の計画>

·         ゴミの分別及びゴミの安全な廃棄を促進し支援するため、調達したゴミ箱を各所に設置する。

·         環境教育と啓発活動を宣伝するラジオコマーシャルを15回、プロジェクト期間中放送する。

·         ゴミの適切な管理方法に関する条例の最終制定は55日に予定されている。

 

<事業による効果的な影響およびもたらした変化>

·         ラジオトークショーのリスナーの多くはゴミに様々な種類があること、分別やリサイクルに関して無知であったことを認識し感銘を受けていた。このことはラジオを聴いていたリスナーが、ゴミに関する有益な情報に対しプロジェクトチームに感謝を示す電話をかけてきたことで判明した。

·         チバリンガ準群の地域住民はラジオの新設場所としてチバリンガ準群が選ばれたことに感謝していた。

·         地域住民は条例の検討会議に参加できたことを非常に喜んでいた。

·         準群長をはじめとする専門委員会や地域の指導者たちもこのような重要な事業が当地域で実施されることに対しGBNSORAKに感謝した。

·         この事業がチバリンガ準群の他の地域にも拡大することを望んでいる指導者たちもいた。

·         住民たちはゴミをどこにでも廃棄する習慣を改め、収集したゴミを袋に詰め収集車が来る場所一ヵ所に廃棄するようになった。

 

<直面した問題 >

·        各家庭へのゴミ箱の配布など、地域住民は過大な期待を寄せていたこと。

·        コミュニティラジオ運営の必要条件に関するフィードバックを受けるのに遅れが生じたこと。

·        会合の開催が遅れ、結果として事業の進捗に遅れが生じていること。まもなく開催予定の会合内で規制を設け、条例の制定ができることに期待している。

·        設置用ゴミ箱の費用を現金で受け取り、購入などの仕事を自分たちで引き受けたいという指導者たちもいた。

·        提案された条例に対し反対する住民もいたため、制定予定の条例が地域に与える成果を説明する必要があり、余計な時間がかかった。

·        協力的でない地域指導者や住民も存在し、集会に参加しなかった者もいた。

<教訓>

1-   SORAKから受けている支援を適切に活用せず、また感謝するかわりに過大な期待を寄せる地域住民がいることを認識した。

2-   このような事業は地域において非常に重要であるため、他の地域への拡大が期待されている。





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「環境教育と廃棄物の収集・リサイクルを通した環境美化事業」事業報告書一覧


※このプログラムは、公益信託 大成建設自然・歴史環境基金からの助成により運営しております。



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2022年5月2日月曜日

【女の子の教育環境改善】2022年3月マンスリーレポート「対象校のWASH(水と衛生)施設の修繕工事」

 

Lwamasaka 小学校の少年たちが女子用洗面所と更衣室の修繕活動に参加している

<活動状況>

1.    対象校のWASH(水と衛生)施設の修繕工事

2.    女子教育と再利用可能な生理用布ナプキン「Happy Pad」の活用をテーマとしたラジオトークショー実施

3.    月経時の衛生管理、性教育、ジェンダー問題についてのブックレットの編集、及びリーフレットの仕上げ

4.    Happy-Padプロモーションセンター改修の完了に向けた作業

 

1.   対象校のWASH(水と衛生)施設の修繕工事

各県で実施した事業開始(キックオフ)の会合に続く活動として、月経時の衛生管理の観点から各校のニーズに合わせた修繕工事を全ての学校において開始した。事業開始の会合はムベンデ県では202228日に、ワキソ県では202234日に、ブタンバラ県では202233日に実施し、その後工事に着手した。

 

ムベンデ県

多くの学校においては水道システムやトイレ、洗面所などの施設の修繕案を採用したが、コミュニティからの寄付を募り、新たに建物を新設した学校もあった。各校の改修状況は以下のとおりである。




















ワキソ県

ワキソ県ではKigooggwa Muslim小学校、Jinja Kaloli小学校以外のすべての学校において修繕工事を実施した。工事の詳細は以下のとおりである。

*Kigoogwa Muslim小学校は事業開始の会合に不参加であり、市の教育長が対応することにはなっているが、2022年の4月末までに当小学校への支援を継続するかの決定を下す予定である。Jinja Karoli小学校は多額の資金が必要な水タンクの修繕に着手すべきかまだ検討途中である。

 

















ブタンバラ県

ブタンバラ県においても以下の通り各校で修繕工事が進んでいる。



2.   女子教育と生理用布ナプキン「Happy Pad」の活用をテーマとしたラジオトークショー実施

より多くの人々がラジオを通して恩恵を受けられるよう、ゴールデンタイムにトークショーを実施した。本事業に対し感謝を伝えようと電話参加してくれたリスナーも多く、また、本事業の活動が他の準郡へ拡大されることを願っているリスナーもいた。

 

ムベンデ県

2022321日(1回目)、22日(2回目)、19:00-20:00に「Heart FM」でトークショーを実施し、プロジェクトマネージャー、プロジェクトオフィサー、ボランティアが出席した。1回目の主な話題は女子生徒が学校に通うことの重要性・利点、通えないことで生じるリスク、また学校での洗面所及び更衣室の必要性などであった。2回目の話題は月経時の衛生管理を普及させ男性を関わらせること、男性を巻きこんで問題に取り組んでいくことの利点、また巻き込まないことで生じる危険性などであった。

 


ワキソ県

2022325日(1回目)、27日(2回目)、「Voice of Kiryagonja」で45分間のトークショーを実施し、プロジェクトマネージャー、プロジェクトオフィサーが出席した。1回目の主な話題は女子生徒が学校に通うことの重要性、利点、通えないことで生じるリスク、また学校での洗面所及び更衣室の必要性などであった。2回目の話題は月経時の衛生管理を普及させ男性を関わらせること、男性を巻きこみ問題に取り組んでいくことの利点、また巻き込まないことで生じる危険性などであった。更にKatalemwa Secondary School に位置するHappy-Padプロモーションセンターの宣伝も行った。



ブタンバラ県
 

2022223日(1回目)、26日(2回目)、「Voice of Butende」でトークショーを実施した。1回目の主な話題は女子生徒が学校へ通う重要性、通わないことに対するリスクとその結果、事業の進捗状況などであった。トークショーにはプロジェクトオフィサー及びチームリーダーが出席し、事業の概要や状況を説明、また事業開始の会合についての報告をした。更に女子生徒が学校に通えるように月経時の衛生管理に理解を示し、女子に優しい環境づくりをすることへの重要性について話した。


 
2回目の主な話題は女子生徒が学校に通うことの重要性、通えないことで生じるリスク、また女子が学校に通うことで家族やコミュニティ、国家がどのような恩恵を受けることになるのかについてであった。2回目のトークショーにはButende 小学校の女性教員が出席した。


3.   月経時の衛生管理、性教育、ジェンダー問題についてのブックレットの編集、及びリーフレットの仕上げ

リーフレットは仕上げ工程に入り、最終の見直し前に試し刷りを行った。ブックレットはまだ作業中であり、プロジェクトミーティングの中で、意図した対象者に最適且つ正しい内容にするためには政府専門家のレビューを受けるべきだという提案があった。現在プロジェクトチームは保健省の専門家と連絡をとり、最終版に向けて内容の精査をしてもらっている。


4.   Happy-Padプロモーションセンター改修完了に向けた作業

Katalemwa secondary School に位置するHappy-Padプロモーションセンターは漸く使用開始の準備が整った。施設にはドアや窓も取り付け、ミシンなどの機械も搬入した。本センターは20224月末までには一般に向けて開設予定である



Ø
  <事業による効果的な影響およびもたらした変化>

各校の校長たちは学校施設の修繕活動において非常に協力であり、工事過程を更新するために常々写真を送ってくれている。Butalunga小学校、Ntolomwe小学校、Nkokoma小学校では修繕工事が完成できるように地域住民から寄付が集められた。金額はそれぞれ20,000(ウガンダ)シリング、133,500シリング、527,000シリングであった。

Ø  Lwamasaka小学校では男子生徒が確実に活動に参加していた。男子生徒は建設作業中、レンガを運ぶなどの労働に参加した。

Ø  各校の学校運営委員、PTAを通すことで各県の施設の修繕工事にコミュニティを巻き込み寄付を集めて実施できた。

Ø  校長が洗面所や更衣室の建設/修繕が急務であると認識し、優先的に取り組んでくれた学校もあった。

Ø  全ての対象校から施設の改善に向けて実施する活動に感謝をされた。

Ø  活動していく中でプロジェクトチームと各学校の間に良好な関係が築けた。

Ø  父親であっても娘の月経においてサポートをするべきであるとの内容を扱ったワキソ県でのトークショーは、娘を持つ多くの父親にとって驚きの内容であり、彼らはラジオ局の司会者のところまで来てプロジェクトチームをトークショーに招いたことに感謝を伝えてくることがあった。

Ø  事業として学校に介入したことにより、Bule小学校をはじめ、時間割に月経時の衛生管理に関する指導及びカウンセリングを導入した学校があった。

<直面した問題>

Ø  学校施設の改善においては非常に多くの修繕箇所があるのに対し、予算は限られたものであった。しかし各学校で可能な限りのリソースを有効活用し、できる限りの修繕を行った。

Ø  スマートフォンを持っていない校長もいたため、修繕工事の過程の撮影及びその写真の共有が直ちに行えない場合があった。

Ø  Jinja Karoli小学校は雨水の貯水タンクを修繕する必要があり、今回の資金では全く足りないためまだ着手できていない。保護者やコミュニティにはたらきかけて資金を募っている。

 

<教訓>

Ø  どれだけ少額であっても変化を生むことができることに気が付いた。これは限られた予算の範囲内で各学校が実施した作業や改善具合に表れている。各対象校の校長とプロジェクトチームは非常に協力的であり、また限られた資金を最大限に生かすべく革新的でもあり、学校の財団(学校運営委員及びPTA)に働きかけ独自に寄付を募るなどの活動も行った。

Ø  それにも関わらず、別の活動に充てる今後の資金を当てにされることもあった。修繕が予定通り実施できなかった場合、ミシンの提供やその他のトレーニングなどの活動支援を継続しないということは事業開始の会合の中ではっきりと述べている。




過去の報告書一覧はこちらです↓↓
「生理で学校に行けなくなる女子学生の教育環境改善事業」事業報告書一覧


※本プロジェクトはJICAの草の根協力支援型として実施しています。



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