2019年12月8日日曜日

—ウガンダのNGOを訪問— 清原 忠之さんより



201910月、ウガンダの現地NGOSORAK development agencyを訪れ、その活動を見学してきました。こちらは、その時の出来事や感想を記したものです。


元々、僕はバックパッカー的な旅を時々していて、平均すると数年に一度の割合で中長期の旅に出ています。


そういう旅をする時に、一番興味が持って見ているのが、「現地の人々の暮らし」です。

そこからは文化や価値観の違いや、それぞれの社会が抱える問題などを垣間見る事ができて、自分の視野を広げるのにとても役に立つからです。


ウガンダに向かう前、次はぜひアフリカ諸国の貧困や社会問題を自分の目で見て確かめてみたいと思っていたのですが、元々アフリカには全くツテがありませんでした。


そこで、「Global Bridge Network」にお願いして、ウガンダのNGOを2つ紹介をしてもらったうえで、現地にはいつものように一人で向かいました。

●ムベンデの街並み

まず、訪れたのがムベンデという田舎町の周辺で活動している「SORAK」というNGOです。


ムハマドという代表の人と会い、初日の午前中は、事務所とSORAKが建てた学校(幼小と孤児院も兼ねてる)や近所の家々を訪れたりしました。


午後は、近くの小さい村に行って、そこの婦人会(ウガンダの村には、婦人会のような女性たちのための集まりがあるらしい)でSORAKの代表が講義をするのを見学しました。


講義内容は、作物の効率的な栽培方法や、その売り方など生活に役立つ知識についてだそうです。


僕も発言する機会を与えられたので、「普段の生活で一番大変な事は何か?」という質問をしてみました。


多くの人が自分から手を挙げて積極的に発言してくれて、下記のような答えが返ってきました。


・貧困
・職不足
・男尊女卑
・家畜の病気
・干ばつ・不作
・病院までの距離・交通費
・病院が土日休み
・夫がHIVテストを受けない
・警察の汚職
・自分たちの知識・教育の不足


多くの人が思い描くアフリカが抱える問題とだいたい同じでしたが、「自分たちの知識・教育の不足」についても、認識してる人が多いのは、良い傾向だと感じました。


●婦人会の講義にて、自分の意見を発表する参加者

その一方で、衛生面を問題点として挙げる人はいませんでした。


SORAKが行ってる活動の一つに、衛生管理の意識向上があります。

例えば、以前は排泄の後、手洗いをする習慣を持たない人が多かったので、そこから病気が広がることがあったそうです。

そこで、今はSORAKのスタッフたちが小さな村々の各家庭を訪れて、トイレの脇に簡易手洗い装置を作ってまわっています。


木の枝、小さなプラスティックボトル、ヒモがあれば5分で作れて、なかなか便利なものです。


あと、各家庭の庭にはポットン便所があるんですが、使わない時に、穴にフタをしておかないと、穴の中の排泄物にたかっていたハエが飛び出してきて、食べ物にとまることがあります。


そうすると、そこから病気が広がることがあるので、トイレのフタも一緒に作ってあげます。

これも材料はプラスティックの破片と木の枝とクギだけなので、無料同然で作れます。


SORAKが設置した簡易手洗い装置を使用する村人


2日目と3日目は、僕もこの簡易手洗い装置とトイレのフタを作るってまわる活動に、SORAKのスタッフやボランティアたちと一緒に参加しました。


4日目は、ウガンダの独立記念日(10月9日)で祝日だったので、仕事はなくて、SORAKの学校でパーティーがありました。


このパーティーは学芸会と卒業式を兼ねた感じのもので、基本的に子供たちが歌ったり踊ったり、ミュージカルを演じたりして1日を過ごします。


ウガンダの子供たちは屈託がなくて、特に子供好きというわけではない僕でも可愛いと感じます。
一見、イジメなどもなさそうです。
皮肉なことに、多分、イジメは経済発展してる国の方が多いんじゃないでしょうか。


結局、「SORAK」の人たちと一緒に4日間を過ごし、すごくいい経験をしました。


ご飯も何回か無料で食べさせてもらいましたし、毎日、泊まっていた安ホテルまで車で送迎してくれるなど、いろいろ親切にしてもらいました。


SORAKが建てた学校の生徒たち
その数日後、「Global Bridge Network」で紹介してもらったもう一つのNGOも訪れました。

その NGOは「HOPE FOR THE FUTURE」と言い、エンテベという町にあるスラムの人たちを支援しています。


代表の人が、実際にそのスラムまで連れて行ってくれて、いろいろ説明をしてくれたうえ、住人たちの家の中も見ることができました。


こちらの方が、SORAKが支援してる農村の人達よりもさらに貧しそうで、ウガンダの多くの家はレンガでできてるんですが、ここの人達の家は土と木でできてます。

そのうえ、崩れかけてる家も多く、トイレも各家庭にはなくて、集落の共同トイレを使わないといけません。


さらに、学校はあっても子供を学校に通わせるためのお金がなくて、子供達の多くが学校に行くこともできていないそうです。

栄養失調による腹部膨張が見られる子供も多かったです。


貧しさの原因は、シングルマザーが多いこと、仕事がほとんどないこと、田舎の村と違って作物を作る畑すらないことなどによるようです。


HOPE FOR THE FUTUREでは、まだ資金が足りないようで、支援も足りないみたいです。



●スラムの子どもたち



●住民の家の中の様子

ちなみに、ウガンダにはウガンダ人の運営する現地NGOが結構あるようです。

国全体が経済的には貧しいのに、寄付をする余裕があるウガンダ人がそんなにいるのか疑問に思ったのですが、寄付のほとんどは海外のNGOや個人から来ているみたいです。


欧米には寄付をする文化が、日本よりもあるので、多くはそういうところから来てるんじゃないでしょうか。


いろいろな問題がある中でも、特に子供の教育には、支援が必要だと感じます。


子供たちが教育を受けれないと、次の世代も貧しいままになってしまって、負の連鎖から抜け出せなくなってしまいます。

教育への支援は自立への支援となります。


また、子供は生まれてくる国も自分の親を選べないので、自己責任論が強い日本でも、とりわけ教育への支援なら賛同できる人が多いのではないかと思いますが、どうでしょうか?


ウガンダに限らず、世界の諸問題について、日本にいて単にニュースから見聞きするだけでは、実情も詳しくわからなければ、実感もわかず、支援したい気持ちにもなりにくいですが、現地を実際に訪れてみると、実情も見え、実感も湧いてきます。


そこで、まずは多くの人が現地を実際に訪れて、事実を自分の目で確かめてみてほしいと僕は思っています。


●スラムにほど近いビクトリア湖畔

ウガンダの人々は、穏やかでフレンドリーな人が多いので、滞在しやすいし、治安も日本で思われているほど悪くはありません。


遠い国なので航空券は安くはないですが、現地の物価は安いので、滞在費はそれ程かかりませんでした。
水洗トイレ・水シャワー付きの個室で、一泊900円くらいの安宿に、僕は泊まっていました。
また、サファリツアーなどの観光スポットも多少あります。


結局、ウガンダには全部で2週間ほど滞在して、NGOを訪れた時以外は一人で国内を観光してまわったのですが、単なる旅行先としても楽しいところでした。


ぜひ多くの人に一度ウガンダに行ってみてほしいと願っています。



以上





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