2022年1月26日水曜日

【女の子の教育環境改善】2021年12月マンスリーレポート「生理で学校に行けなくなる女子学生の教育環境改善事業」

202112月 JICA 月次レポート 「生理で学校に行けなくなる女子学生の教育環境改善事業」

女子生徒とのグループインタビュー(FGD)
(ムベンデ県カサナ小学校)

対象地域におけるベースライン調査のデータ収集

n  ワキソ県   2021112930日、12月1日 

n  ブタンバラ県 2021112830日、121日 

n  ムベンデ県  20211223日 

 

<活動状況>

対象地域である各県の学校、政府関係者、スクールコミュニティ(学校運営委員・PTA)からベースライン調査のデータ結果を集計した。データは、各学校の女子生徒153人に対して実施したオンラインアンケート、男子生徒、女子生徒、スクールコミュニティを対象にそれぞれ実施したフォーカスグループディスカッション(FGD)、学生・指導者・学校運営委員・政府関係者とのキーインフォーマントインタビュー(KII)を元にしている。

また、本事業の全対象校(30校)において、チェックポイントを記したチェックリストを用いて各校のトイレ、洗面所、更衣室、水源等のWASHWater Sanitation and Hygiene:水と衛生)施設の状態を視察し、データを収集、更に各学校の出席率を調査するため、チェックリストを用いて、男子生徒と女子生徒の出席率を比較し、生理を理由に中退する生徒がいるかを調査した。

調査結果は定量データを定性データと比較するためにSTATAを使って分析し、その後報告書のドラフトとしてGBNに提出した。


ムベンデ県では、県の学校調査官、対象校の校長、学校運営委員長とのインタビュー(KII)を実施した。またグループディスカッション(FGD)を2校(KasasaKasana)、オンラインアンケート及びKIIを学校5校(Kasana CUChrist the KingIkulaKasasaCAWADISA)にて実施した。

ブタンバラ県では、県教育長、県の学校調査官、ゴンべ地区書記官、ンガンド準群長、ブロ準群長とのインタビュー(KII)を実施した。グループディスカッション(FGD)を2校(Kiwala UMEANkokoma)、オンラインアンケートとKIIは5校(KiwalaNkokomaKitagobwa CatholicLwamasaka UMEANtolomwe UMEA)にて実施した。 

ワキソ県では市の教育長、副教育長、対象校の学校長、学校運営委員とのインタビュー(KII)を実施した。グループディカッション(FGD)を2校(Maganjo UMEAKigoggwa)で、オンラインアンケートとインタビュー(KII)を5校(Jinja KaroliManganjo UMEASsangaKitungwaBuwambo)にて実施した。

 

<事業による効果的な影響およびもたらした変化>

調査対象であった生徒や政府関係者、学校運営委員との連携が取れていたおかげで、データの収集作業は順調に進んだ。

ムベンデ県では対象校の校長がスタッフや生徒に働きかけてくれたことで調査作業がスムーズに進んだ。さらに県の役人も調査への協力に積極的であり、様々な支援をしてくれた。

ブタンバラ県では県の教育長が対象校の校長と連絡をとってくれたおかげで、生徒や学校運営委員、スクールコミュニティの協力が円滑に得られた。

ワキソ県でも全ての学校長が我々を歓迎してくれた。中には他団体による同様のプロジェクトを経験したことのある学校もあったが、本事業を通して設置できていないミシンが導入できるという点に関して非常に喜んでいることがわかった。学校長をはじめ政府関係者もとても協力的で、意欲的に参加してくれ、データ収集にアクセスしやすくなるようにプロジェクトチームを導いてくれた。

ムベンデ、ブタンバラ、ワキソ、いずれの県でも本事業は歓迎され、女子生徒の出席率において効果をもたらすとして期待されている。また、多くの生徒を抱える学校においても他から援助を受けられていない学校もどちらも支援する事業だという点においても注目された。

 

<直面した問題>

Ø  データ収集の時点では出席率チェックリストに必要な情報が埋められていない状態の学校もあったが、後日連絡をとり期日までに提出してもらった。

Ø  コロナウイルスによるロックダウンを受け、教員を呼び出すことが非常に困難であった。これは多くの教員が学校閉鎖の中でも生活費を稼ぐために移動していたからである。しかし学校長に連絡を取り合ってもらい、決められた日時に無事参加できた。

Ø  コロナウイルス自体も問題の一つであったが、すべての県において消毒液やマスクの使用、密を避ける等の基本的な感染対策を徹底することで対処した。

 

<教訓>

Ø  今回訪問した中で焼却炉を完備している学校は一校もなかった。そのため、使い捨ての生理用ナプキンを使用している生徒は使用済みナプキンをトイレに捨てており、トイレ内に溜まったナプキンを取り出すのに余計な費用が掛かっている現状があった。

Ø  生理が女子生徒の欠席理由になることを認識していない教員もいた。多くの場合、女子生徒は恥ずかしさなどから生理を理由に欠席することを明言しないが、医療関係者からの証明が提出できなければ欠席したことに対して罰を受けてしまうことがある。


ンガンド準群長とのミーティング及びインタビュー(KII)
(ブタンバラ県ブロ準群)
校長とのインタビュー(KII)
(ブタンバラ県ブロ準群ブレ小学校)
女子生徒とのグループインタビュー(FGD)
(ブタンバラ県チワラ小学校)
男子生徒とのグループインタビュー(FGD)
(ムベンデ県カサナ小学校)
女子生徒とのグループインタビュー(FGD)
(ムベンデ県チガンド準群イクラ小学校)
校長とのインタビュー(KII)
(ワキソ県ゴンべ地区サンガ小学校)
女子生徒とのグループインタビュー(FGD)
(ワキソ県ナンサナ市ナブウェル マンガンジョUMEA小学校)

<関係者のコメント>

ブタンバラ県ンガンド準群、準群長マリアム氏

「イスラム教徒が多数を占めるこの地域では父親が家庭を複数持つ一夫多妻であることが多いです。月経時の衛生管理について父親たちが理解するようになれば、より大きな影響が期待できるはずです。地方に住む少女たちが生理の対処法として水の入ったたらいに座ることで血液を処理するものと信じているのは大変悲しいことであります。」

ブタンバラ県ゴンべ町議会、 書記官イドリス・ワルゲンべ氏

「コミュニティにいる男性は月経時の衛生管理における考え方を変えていく必要があります。これは宗教指導者などの発言に影響力のある方に依頼すれば簡単ではあるのですが、とりわけこのムスリムコミュニティでは全てのステークホルダーの考え方を変えていかなければなりません。地域の指導者と宗教指導者、両方の協力が必要です。」


ワキソ県ナブウェル、マンガンジョUMEA小学校校長とのインタビュー(KII)にて

「私はこの事業が(コロナ禍の後)間もなく再開される学校に合わせて実施できること、そしてこのコロナ対策期間において特に政府から強く言われている水と衛生の課題に取り組む内容であることを嬉しく思います。」




過去の報告書一覧はこちらです↓↓
「生理で学校に行けなくなる女子学生の教育環境改善事業」事業報告書一覧


※本プロジェクトはJICAの草の根協力支援型として実施しています。



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