2023年3月6日月曜日

【女の子の教育環境改善】2022年1月マンスリーレポート「 新規プロモーションセンターの設立準備、オンライントレーニングの実施 等」

 

ブタンバラ県プロモーションセンター施設内部

<活動状況>

1.   ラジオトークショーの実施(ムベンデ県)

2.   女子の教育推進、布ナプキン利用者の増加を目的としたラジオスポットメッセージ(コマーシャル)の放送

3.   Happy-Padプロモーションセンター(ワキソ県)

4.   施設修繕が未完了の学校の経過観察(ムベンデ県Christ the King初等学校・Kiyita初等学校)

5.   新規プロモーションセンターの設立準備(ブタンバラ県)

6.   オンライントレーニングの実施(ブタンバラ県)

 

 

1.ラジオトークショーの実施(ムベンデ県)

119日にムベンデ県チバリンガ準郡のラジオ局「Luna Fm」で1時間のラジオトークショーを実施し、生理用品を購入できない女子生徒が快適に学校に通えるようサポートするように地域の住民に呼びかけた。主な話題は、家庭及び新学期を迎える学校において月経時の衛生管理がしやすい環境を準備することであった。今回のトークショーではチバリンガ準郡の青年議会から議員が出席し、女子生徒が学校に通えることを目的に月経の課題に取り組んでいる当事業を高く評価してくれた。



2.女子の教育推進、布ナプキン利用者の増加を目的としたラジオスポットメッセージ(コマーシャル)の放送

月経時の衛生管理、女子生徒の教育、生理用布ナプキンに関するラジオスポットメッセージを以下の通り放送した。

·        ムベンデ県:Luna FM 16回)

·        ワキソ県: Voice Kiryagonja(1日10回)

·        ブタンバラ県:Voice of Butende110Voice of Kikambwe(111


 

3. Happy-Padプロモーションセンター(ワキソ県)

12にプロモーションセンターでのナプキン作成トレーニングに登録した女性(4名)は120日までトレーニングを受講した。受講生たちはトレーニングを経て布ナプキンを作成できるようになったことに対し非常に喜んでいた。


1月はナプキンの生産を行わなかったが、プロモーションセンター近隣の家庭を訪問するなどマーケティング活動に注力した。


 

4.   施設修繕が未完了の学校の経過観察(ムベンデ県Christ the King初等学校・Kiyita初等学校)

1月は長期休暇中のために全対象校が閉鎖していたが、施設修繕が未完了の2校の校長に電話をかけ進捗状況を確認した。修繕工事は保護者から資金を募った後の次学期終了時(4月下旬)までに終了予定であること、また新学期開始までは修繕作業を停止している状況にあることが分かった。


 

5.   新規プロモーションセンターの設立準備(ブタンバラ県)

プロモーションセンターを設ける場所を確保し、布ナプキンの生産及び作成トレーニングを担当するトレーナー2名(男性1名、女性1名)を雇用した。また、トレーニング受講者の募集を124日に開始し、女性8名、男性2名が登録した。今後も受講を希望する住民を継続的に受け入れていく予定である。



6.   オンライントレーニングの実施(ブタンバラ県)

出席者: Zoomセッションにはウガンダ及びパキスタンの市民団体の代表者が出席し、出席者数は1度目のセッションが49 (女性30名、男性19)、2度目のセッションが39(女性23名、男性16)であった。

1) 布ナプキン作成方法における動画デモンストレーション

ブタンバラ県チームは布ナプキンの作成方法を示す20分の動画を撮影した。必要な道具や材料、手書きでの型の取り方や採寸方法、布の裁断方法など、布ナプキンの作成手順を最初から最後まで説明した。

 

2) オンラインセッションの実施(2回)

1月21日にはウガンダの女子学生が直面している課題において議論するセッション、122日には布ナプキンの作成方法においてデモンストレーションを行うセッションをそれぞれオンライン(Zoom)上で2時間ずつ行った。

セッション1は2023121日午前11時(ウガンダ時刻)から開始し、ウガンダや他国の様々な地域で女子学生が直面している課題において自由に議論した。参加者との交流を図るため参加型形式を採用し、ウガンダのイガンガ県、ワキソ県、ムコノ県そしてパキスタンの参加者から経験談の共有を受けた。その中で特に注目すべき課題は、月経時の衛生管理に関する知識が乏しいのは女子だけでなく地域一般的であること、迷信やタブーが現在も存在すること、男性の介入が少ないこと、学校において生理用品や衛生管理施設が不足していること、月経時の衛生管理の観点において障がい者の包括度が低いことであった。現在対象地域であるブタンバラ県、ムベンデ県、ワキソ県で取り組んでいる課題が他の地域でも同様に存在していたため、上述の様な課題に対応する介入方法や活動方法についても議論を交わした。

セッション2は2023122日午後3時(ウガンダ時刻)から開始し、始めに生理の貧困とその解決策としての介入方法について議論した。ナプキンが入手できないために用いられる不衛生な代用品による感染症、生理用品の引き換えとしての性取引や性的搾取、生理を理由にした女子生徒の退学や汚名など、生理の貧困を起因とした様々な影響が主な議題となった。また、自由質問形式のやりとりを通して再利用可能な布ナプキンに関する参加者の知識量を見極めた上で布ナプキンの概要、使用する利点と使用方法、衛生的に使用するための注意点を紹介し、ワキソ県のHappy-Padプロモーションセンターの活動紹介を行った。その後、参加者が布ナプキンの作成方法を学べるように事前に用意しておいたナプキン作成の動画を流した。

また、各セッションの終了前には質疑応答の時間を設け参加者からの反応を受け取るとともに、フィードバックフォームを参加者全員へ送信し入力を依頼した。

 

<事業による効果的な影響およびもたらした変化>

·        チバリンガ準郡Luna FMでのラジオトークショーに青年議会議員が出席し、女子生徒の出席率向上を目指す当活動を評価すると同時に、月経時の衛生管理やジェンダー平等、性と生殖に関する住民への啓発活動を実施するにあたってSORAKと協力していくことをトークショーの中で約束してくれた。(ムベンデ県)

·        オンライントレーニングにおいて(ブタンバラ県)

Ø 25団体が出席し、他団体との新しいパートナーシップを形成する機会となった。また、参加者が積極的に発言し自身の経験などを共有してくれたことから、参加型形式が非常に効果的であったことが分かった。

Ø 保健省のオフィサーよりHappy-PadUNBS[1] による承認を得る必要があることを、イガンガ県の「Girls With a vision Uganda」代表より障がい者も対象に含めるべきであることを、「JENA Women Empowerment Initiative」の代表者より下着を購入できない人のためにナプキン付きの下着の導入も検討していくべきであることなど、参加者から様々な学びを得ることができた。

Ø ほどんどの参加者はセッション終了時まで出席した。

Ø オンライントレーニングを通して互いのチームからも学びを得ることができた。このようなトレーニングは事業実施において非常に重要であり、今後の活動にも生かしていける学びが多くあった。(ムベンデ県・ワキソ県)

·        エボラ出血熱の感染拡大を受け予定していたほとんどの活動に影響が出たが、状況がようやく落ち着いてきたため活動再開の兆しが見えてきた。(ムベンデ県)

·        ラジオトークショーの放送中にはリスナーから多数の問い合わせがあり、トークショーを通して共有される月経時の衛生管理の情報に感謝をしていること、また月経時の衛生管理の問題に関する情報提供を更に希望していることが分かった。(ムベンデ県)

 

直面した問題>

·        オンラインでのプレゼンテーション途中にインターネットの接続が不安定になったこと。また、セッションへログインする際に時間がかかったことを指摘した参加者もいた。(ブタンバラ県)

·        布ナプキンのマーケティングにおいて、プロモーションセンター周辺の家庭への訪問販売を試みるなど最適な販売方法を模索しているが、未だ課題である。(ワキソ県プロモーションセンター)

·        対象校が長期休暇期間であったため学校での活動が実施できなかったが、学校の再開に合わせ活動も順次再開していく予定である。

·        家具などをブタンバラ県のプロモーションセンターへ一部移動したため、ワキソ県のプロモーションセンターでの活動にも影響が出たが、工夫しながら運営を継続している。(ワキソ県プロモーションセンター)

·        オンライントレーニングはそれぞれ2時間の実施であっためインターネット費用が高額になってしまい、セッション1参加後セッション2へ参加できなかった参加者もいた。(ブタンバラ県)

·        教員など電子機器を持っていないことからオンライントレーニングへの参加ができない者も多かった。


<提案>

·      Happy-Padに品質やサイズにおける規定を設け標準化する必要がある。(ワキソ県・ブタンバラ県)

·      ナプキン作成トレーニングの受講を希望する者に対し、いつでもトレーニングを提供できるように準備しておく必要がある。(ワキソ県・ブタンバラ県)


<教訓>

·      オンライントレーニングではオープンディスカッションが参加者を惹きつけ続けていたことからも、参加者が積極的に参加することでよりトレーニングが効果的になる。

·      障がいをもつ人々のニーズにも応えていくべきである。

·      快適さを提供するためにも布ナプキンのデザインは適切な基準に従って作成されるべきである。

·      布ナプキンの作成方法において、オンライン形式ではなく対面形式でのデモンストレーションを希望する者がいたため、プロモーションセンターへ招待した。(ワキソ県・ブタンバラ県)

対象地域で課題となっている月経時の衛生管理に関する問題は他の多くの地域でも同様に見受けられる。




過去の報告書一覧はこちらです↓↓
「生理で学校に行けなくなる女子学生の教育環境改善事業」事業報告書一覧


※本プロジェクトはJICAの草の根協力支援型として実施しています。


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