2023年2月5日日曜日

【環境教育と廃棄物の収集・リサイクルを通した環境美化事業】インパクト評価レポート

 

ごみの撤去後に草を再生し、キオスクが設置された

【導入と背景】

本レポートでは「環境教育と廃棄物の収集・リサイクルを通した環境美化事業―ウガンダ共和国ムベンデ県ルサリラ地区」にを実施したことにおける効果や影響を紹介する。

 

この事業では対象地域の環境美化を目標に掲げており、以下を目的に活動を実施した。

1-安全なごみの処理方法やリサイクル方法に関する教育・啓発活動の促進

2-ごみを分別し、農園での肥料やプラスチック原料として再利用するなど適切な処理方法の促進

3-適切なごみ処理及び清潔な環境整備の強化

4-環境保全グループや法整備により、地区に持続的な環境保全の仕組みができる

 

事業は202111月に開始し、上記の目標を達成するために実施した活動概要及び成果は以下である。

 

1.   活動の概要

活動1.1情報やメッセージを地区全体に届けられるコミュニティラジオのシステムの導入

他の自治体が所有する既存のコミュニティラジオ(メガホンラジオ)の活用に加えて、活動の中で地域密着型のラジオ放送局を設立した。このラジオ放送局はごみの管理方法や分別、清潔で安全な環境を維持することの重要性について、地域住民を教育・啓発するために継続的に使用している。

 

活動 1.2 地区住民に向けての環境教育トークショー(30分間/日)

環境教育トークショーは活動期間全体を通して継続的に実施した。また、啓発活動を行うだけにとどまらず、GBN及びSORAKの活動を理解し受け入れる場としても機能した。地域住民は本活動により清潔な環境で生活ができることに感謝し、その重要性を理解した。

 

活動 1.3 環境教育及び啓発活動を宣伝するラジオコマーシャルの放送(15回)

ラジオトークショーに加え、コマーシャルメッセージを毎日放送することで、よりメッセージの伝達を強化することができた。また、1日5回放送することで、環境保全に関するメッセージは確実に住民の耳に届き、清潔な環境で生活をするという概念が生活に根付き、コマーシャルメッセージは身近な“歌”の様な存在となった。地域の指導者を含むすべての住民が当事業を促進したGBN及びSORAKに感謝している。


 

活動 2.1 ごみの分別と安全な処理を目的に、ごみ箱2個ずつ5か所への設置

合計10個のごみ箱を2個ずつ(プラスチックと生ごみ用)5か所の適切な場所に設置し、地域住民に対しごみの分別方法を教育した。分別をすることで、プラスチック廃棄物の販売業者も、バナナ農園で有機廃棄物を肥料として使用する農家も、それぞれ廃棄物を簡単に引き取ることができるようになった。

 

活動 3.1 廃棄物の投棄や分別を監視する地域の環境保全グループ

現在ルサリラ地区では活動を通して設立した、地域の指導者と住民からなる環境保全グループが機能している。環境保全グループは今後も適切なごみ処理及び分別がきちんと行われているかの監視を行い、ごみ箱の管理や住民への教育も継続していく。

 

活動3.2 廃棄物の投棄を規制する条例の制定とその強化

準郡長や地区長と協力しながら廃棄物の投棄を規制する条例を制定し、現在も対象地区の美化維持に役立てている。また、環境保全グループとSORAKのバックアップ(後方支援)により、これらの条例の施行をさらに強化している。

 

2.   事業による効果的な影響およびもたらした変化

·        安全なごみの処理方法やごみの活用方法などにおいて、地域住民への教育を促進することができた。

·        ごみを分別し、農家用肥料やプラスチック原料として再利用するなど適切な処理方法を促進することができた。

·        ごみの処理方法が改善し、活動前と比べて対象地域の環境状況が改善した。

·        活動前にごみの廃棄場所と化していた場所に露店やキオスクなどを設置できるようになった。

·        プラスチックなどの資源を回収する若者にとって収入増加の機会となった。集まるプラスチックの量にもよるが、4半期ごとにトラックに積み込み運び出している。

·        分別した有機廃棄物を活用している農家の土壌肥沃度が改善した。

·        事業対象地域におけるGBN及びSORAKの認知度が向上した。

 

3.   課題

活動期間の12か月間で直面した問題点は以下である。

·        住民がごみの分別に適応するまでに時間を要したこと。ごみを不法投棄しているのは主にごみ箱に表記されている「資源ごみ、燃えるごみ」などの文字を読むことができない子どもや女性たちであり、有機廃棄物やリサイクルなどの標示も理解できていなかったことが分かった。

·        設置したごみ箱は日々排出されるごみの量に対しとても小さく、ルサリラ地区のごみを収集するにはより大きなごみ箱の導入が必要であることが分かった。

·        個人でごみを収集し販売している者が地域の美化活動を支援した。現在、準郡は公のごみの処理場を設けていないため、ごみを販売して得られる利益は収集した個人のものになっている。政府がごみの収集所や処理施設を設立しない限り、政府がごみの収集・販売によって収益を得て、更なる活動のために活用することは難しいことが分かった。

·        分解せず環境に有害なプラスチックやポリエチレンの廃棄物の排出が非常に多いことが分かった。これはウガンダ全体における課題であり、ポリエチレンやプラスチックの使用を完全に禁止する必要がある。

 

4.   結論と提案

事業対象地域の環境がきれいに保たれていることから、この事業は概ね成功であるということがいえる。SORAKスタッフを含め地域住民や地域の指導者もこれまで以上に安全なごみの処理方法において気を配るようになり、活動前にごみの廃棄場所と化していた場所は現在、露店やキオスクなどが設置できるようになった。また、地域住民はごみを肥料として活用したり、地域から170キロ離れた場所に位置するリサイクル産業にプラスチックごみを売ったりすることで収入を得ることができるようになった。

 

急成長する農村地域において、増加するごみを管理・処理するという名案を導入した点が着目に値する。ごみの管理・処理はどの都市においても継続して行われるべき課題であり、本事業が特に大きな問題もなく地区内のごみを削減できた良い事例となったことからも、準郡の指導者たちが同様の活動を引き続き実施し、将来的にはより大きなごみ箱を設置することにも期待している。

 

以下は提案である。

·        当事業を通して達成した効果的な影響をふまえ、同様の活動を他の地域でも実施すべきである。

·        より効果的にごみを収集するためには、より大きなごみ箱を設置すべきである。

·        対象地域だけでなく、ウガンダ全土においても分解しないポリエチレンやプラスチックごみがその多くを占めているため、これを完全に使用禁止することを提言していくべきである。

·        ごみ収集地点に設置しているごみ箱が効果的に使用されているのかを確かめるため、地域の指導者と今後も協力を続けていくべきである。

                   

5.   活動の開始前と現在を比較した写真

以下は事業の効果を示した写真である。ごみを撤去した後、草が再生し見違えるようにきれいになったため、空き地をキオスクなどに活用することができるようになった。



 

事業完了報告書はこちら

事業完了報告書_Final20230201


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