2023年5月1日月曜日

【女の子の教育環境改善】2022年3月マンスリーレポート「 中間報告会の実施、対象校間の学び合い交流会の実施、等」

クイズ大会で回答しようと挙手する月経時の衛生管理クラブメンバー

<活動状況>

1.   事業の中間報告会の実施(ブタンバラ県・ムベンデ県)

2.   ラジオトークショーの実施

3.   女子の教育推進、布ナプキン利用者の増加を目的としたラジオスポットメッセージ(コマーシャル)の放送

4.   対象校間の学び合い交流会の実施(ブタンバラ県・ワキソ県)

5.   Happy-Padプロモーションセンター(ワキソ県・ブタンバラ県)

 

1.   事業の中間報告会の実施(ブタンバラ県・ムベンデ県)

ムベンデ県では320日に、ブタンバラ県では324日に中間報告会を実施した。残りの活動期間でより良い成果を上げるため現在の活動状況を話し合うことを主な目的とした。

出席者は対象校の校長や教員、学校運営委員、月経時の衛生管理クラブの部員、保護者会員に加え、ムベンデ県では教育センター長や準郡議長、チバリンガ準郡長、ブタンバラ県ではプロベーションオフィサーンガンド準郡事務局長、保健省職員、教育長(DEO)、県駐在コミッショナー(RDC)のような様々なステークホルダーであった。

 

報告会への参加者の合計はムベンデ県41名、ブタンバラ県18名であった。(ワキソ県は4月に実施)

No

男性

女性

合計

1

ムベンデ県

17

24

41

2

ブタンバラ県

8

10

18

合計

25

34

59

 

ムベンデ県


 

ブタンバラ県


 

2.   ラジオトークショーの実施(ブタンバラ県)

ムベンデ県では323日にFM Kibalingaより1時間のラジオトークショーを実施し、生理用品を購入できない女子生徒が快適に学校に通えるようサポートするように地域の住民に呼びかけた。主な話題は、中間報告論会においてであり、対象校は事業の介入に感謝をしているのと同時に、過ごしやすい環境づくりを学校と家庭の両方において作っていくためには特に男性をはじめとする保護者の参加が必要であることを指摘していたことを伝えた。


 

ブタンバラ県では35日にVoice of Butendeよりラジオトークショーを実施した。ブタンバラ県のリーダーは障がい者も同様に月経時の衛生管理ができるように支援していく考えを議論した。主に聴覚や身体・知的障がい者の保護者や介護人に対し、月経管理に関する情報を収集し、普及していくように呼びかけた。また、地域の教員たちに対しても、月経時の衛生管理についてトレーニングを行う際は学習障害のある生徒も対応するように奨励した。

 


ワキソ県では324日、午後7時~8時にTiger FMより1時間のラジオトークショーを実施し、SORAK代表、プロジェクトマネージャー、プロジェクトオフィサーが出席した。トークショーでは事業の概要やこれまでの成果を紹介し、障がい者の月経時の衛生管理の必要性について議論した。


1.   女子の教育推進、布ナプキン利用者の増加を目的としたラジオスポットメッセージ(コマーシャル)の放送

月経時の衛生管理、女子生徒の教育、生理用布ナプキンに関するラジオスポットメッセージを以下の通り放送した。

• ムベンデ県:Luna FM16回)

• ワキソ県: Voice Kiryagonja110回)

• ブタンバラ県:Voice of Butende11回)、Voice of Kikambwe21回)

 

4.   対象校間の学び合い交流会の実施(ブタンバラ県・ワキソ県)

ブタンバラ県

316日にプロモーションセンターの管理者は月経時の衛生管理についての知識や取り組み、事業の影響を評価することを目的とした交流会を開くため対象校全10校をBudinse Memorial校に招待した。参加者は主に校長、教員、月経時の衛生管理クラブのメンバーたちであった。

320日には学校対抗のクイズ大会を午前と午後の2部に分けて実施した。月経時の衛生管理や性と生殖に関する健康、ジェンダーについての設問を30問準備し、審査員が生徒たちの回答に応じて得点を付けた。結果は84点を獲得したNawango初等学校が優勝となり、賞金2万シリングを授与した。

 

各校の得点

学校名

1

2

合計

1.LWAMASAKA UMEA

2.BULE UMEA

3.BUTENDE UMEA

4.KITAGOBWA C/S

5.BUTALUNGA C/S

6.NKOKOMA C/S

7.KIWALA UMEA

8.NAWANGO C/S

9.KAYENJE C/S

10.NTOLOMWE UMEA

31

27

30

21

10

34

26

36

44

40

32

40

40

36

44

48

56

44

75

67

62

61

50

70

70

84

56

44




学校ごとの出席状況

交流会では対象校10校より合計で124名(男子36名、女子88名)の生徒と19名(男性9名、女性10名)の教員の参加があった。Kayenje初等学校は女性教員のみの参加となったが、その他の9校からは男性教員、女性教員各1名ずつの代表者が参加した。

 

以下の表は各校生徒の出席状況である。

学校名

男子

女子

合計

Kitagobwa Primary School

5

10

15

Butalunga Primary School

3

10

13

Kayenje Primary school

3

7

10

Nawango

4

13

17

Butende

3

11

14

Bule

5

9

14

Kiwala

4

11

15

Lwamasaka

7

8

15

Ntolomwe

2

9

11

合計

36

88

124

 

交流会で見受けられた事業の成果

·      月経時の衛生管理クラブメンバーの自信が大いに向上し、月経について議論をすることを恥じらわなくなった。

·      月経時の衛生管理クラブの部員は、月経や性と生殖に関する健康についての知識を深めた。

·      教員たちはこのプロジェクトに依然高い関心を持ち、自分の学校においても効果があると感じていることがうかがえた。

·      クイズに参加する子どもたちの様子からわかるように、教員達も継続的に本プロジェクトに参加していることが伺えた。

·      月経時の衛生管理クラブは熱心に活動に取り組んでおり、継続して役割を果たしている。

 

ワキソ県

対象校間の学び合い交流会の実施準備

ワキソ県の対象校の中で交流会を開催する学校としてはJinja Karoli初等学校が最も適している。初等教育のカリキュラムに職業訓練を組み込んでいるほか、GBNが寄贈したミシン1台に加え4台のミシンとオーバーロックミシンもあり、自由時間に学びに来た生徒に対応するフルタイムの女性テーラーも常勤しているためである。

SORAKチームが学校を視察訪問した際には、月経時の衛生管理クラブ立ち合いの下、布ナプキンを作る全工程を見ることができた。機械の部位や、機能を学ぶまではミシンの使用を許可していないため、現段階では校長とテーラーが主導してナプキン作製を行っているが、間もなく生徒たちもミシンを使って布ナプキン作製を開始する予定である。


5.   Happy-Padプロモーションセンター(ワキソ県・ブタンバラ県)

ワキソ県

プロモーションセンターでの布ナプキン作製トレーニングは継続中で、生徒の参加者は3月末までに147名に達し、3月は80枚の布ナプキンを作製したが、販売には至っていない。

 

布マスクの作製及び配布

202211月~20231月のエボラ出血熱が感染拡大していた期間に、合計で900枚の布マスクを作製し、ムベンデ県、ワキソ県のプロジェクト対象地の脆弱な立場にいる人々に配布した。新型コロナウイルスに加えエボラ出血熱の影響が特に酷かったムベンデ県では600枚を配布し、残りの300枚はワキソ県の対象校の生徒たちに配布した。

 

ブタンバラ県

Happy-pad promotionセンターでのトレーニングは安定して継続できており、布ナプキン作製トレーニングに興味を持った地域住民からの訪問を受けることもある。314日には布ナプキンの購入に興味を示した看護士の訪問があり、商品の販売準備が整い次第、連絡を入れる約束をした。

 

 

Happy-Padプロモーションセンターでの出席者記録

登録している11名の受講者のうち、313日~19日の出席者数は以下の通りである。

 

女子生徒

男子生徒

女性地域住民

男性地域住民

登録者数

1

1

313

0

1

314

5 

1

1

315

6

1

1

316

6

1

  1 

317

7

1

1

318

1

1

319

0

0

0

 

布ナプキン生産

Ÿ  販売用の布ナプキン生産はボタンプレス機とオーバーロックミシンの到着を待っている状態のため、生産途中であるが、20234月までには準備が整う予定である。

Ÿ  パッケージ案や仕様書案をGBNに提出し、承認された。

 

プロモーションセンターで直面した問題

·      布ナプキン作製において最終工程を担うボタンプレス機やオーバーロックミシンがなかったため、販売用の布ナプキンを完成することができなかった。

·      学生のトレーニング受講者は、放課後や週末、夕方以降の時間しか出席できないため、作業時間に制限があり、なかなか全工程を把握することができずにいる。

·      トレーニングへの参加を希望し、問い合わせてくる地域住民は多くいるが、受講生の数はまたまだ少ない状況にある。

·      男性のトレーニング受講生は目標人数よりも少なく、およそ女性対男性の比率は、7対2が現状である。

·      ナプキンの作製に必要な材料が不足している。

 

事業による効果的な影響およびもたらした変化

·       ラジオトークショーのリスナーは学校の基準が大いに改善した点においてSORAKに感謝を示した。(ムベンデ県)

 

事業全体の直面した課題

·        対象校の学校間交流会中に1時間以上も雨が降った。(ブタンバラ県)

·        天候の影響や遠方からくる参加者がいたこともあり、ブタンバラ県の交流会でもムベンデ県での中間報告会でも、ほとんどの参加者の到着が遅れ、活動の開始時刻が遅くなってしまった。

·        Happy-padプロモーションセンターでの無料のトレーニングに参加するよう全対象校を奨励し、学校も参加に対し前向きではあったものの、各校からセンターまでは距離があることが課題となっている。(ブタンバラ県)

·        ブタンバラ県のNtolomwe初等学校、Bule初等学校、Kiwala初等学校、Kitagobwa初等学校では水源の確保が課題となっている。ワキソ県でも、特に乾季はJinja Karoli初等学校、Maganjo UMEA初等学校、Ssayi Bright初等学校、Kanyange初等学校は遠距離にある地域の井戸まで水を汲みにいかなければならない状況にある。

 

教訓

·        交流会での月経時の衛生管理クラブの評価を通し、各対象校の活動状況が明らかになった。また次回の交流会では布ナプキン作製のような、より実践的なアプローチを取り入れるべきである。

·        生徒たちは布ナプキンの作製方法だけでなく生理中の女子に対しどのようなアドバイスをすべきか活動を通して習得できていることが分かった。また、以前よりも衛生管理が上手にできるようになり、月経になることは正常であるということを学び、恐れることもなくなった。

·        各県のステークホルダーたちも月経衛生管理やジェンダー、性と生殖に関する健康についての活動を前向きに支援しようとする姿勢を見せた。

·        対象校において月経時の衛生管理の課題に取り組む姿勢が改善している。

 

提案

·        布ナプキンを普及させるためはSNSなどを活用した販売戦略が必要である。(ワキソ県)

·        月経時の衛生管理についての地域規模の啓発活動を定期的に実施すべきである。

·        教員、学校運営委員長、PTAは、布ナプキン作製に必要な材料を揃えるために保護者から資金を調達すべきである。

·          多くの保護者が音楽やダンス、演劇が好きであるため、月経時の衛生管理について情報を伝える際は、音楽などを取り入れるようにするべきである。(ムベンデ県)




過去の報告書一覧はこちらです↓↓
「生理で学校に行けなくなる女子学生の教育環境改善事業」事業報告書一覧


※本プロジェクトはJICAの草の根協力支援型として実施しています。


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